2012年08月25日

剣客商売 杏と斉藤工

気に入りの池波正太郎「剣客商売」。小説を読んで気に入りになった小説が映像化されることはあまり好まない。
それは本の中で想像された登場人物が具体的な顔形になってしまう事を好まないからだ。その上すこぶる付きの「イメージと違う!」を経験したことがあるからだ。確かではないが原田康子「挽歌」のテレビドラマ化だったかと思う。

で、昨晩の「剣客商売」も残念だった。
余りの落胆に厳しく感想を・・・

剣客商売。これまで小兵衛は藤田まことで親しんできたが今回は北小路欣也。
小柄で粋、40も年の違う若いお手伝いに手を出し、まだまだその気も充分。若い妻に「いやだよォー」と顔を赤らめはにかむ表情をさせことができるそんな老いた色気を持ち、表では好々爺然。だがいざとなれば強いのなんの。
北小路は美男の剣士だが、小柄でないだけでなく、隠居する市井の男の生活の匂いが感じられない。
老いてなおまだまだ「その気」なことに「照れある色気」が無い。この点は藤田まことに軍配。

何よりチョー残念は、杏の三冬と斉藤工の大二郎。

杏の三冬は感情的過ぎるだけでなく、憶えた台詞を忘れないうちに言うが精一杯の感情の幅が全く無い。そこには人の幅もをんなも出ず、優れた女性剣士などとも到底思えない。太刀さばきにも落胆。身体がふらついているようでは・・・。

大二郎は斉藤工とやら。弱そうな事弱そうな事。父小兵衛を尊敬し、その上老いてきた父を気遣い、若いが時には父の名代をも立派に務められる。体格もよい好青年。それが大二郎。
斉藤工の大二郎では小兵衛が安心して大二郎を一人で行かせられない。心配でみてやらねばと後からこっそり付いて行かねばならない。これでは本の中の大二郎から程遠い。大二郎がかわいそう。

池波氏もかわいそう。


この二人の絡みも夫婦になる前の互いの思いが何処にも見られない。互いの目にもしぐさにも。二人がその先結婚するなどとは到底思えない。
この二人では結婚など考えられない上、結婚しても夫婦の匂いを感じないだろう。いづれ別れるだろう。そう思わせる二人。杏では三冬が死んでしまう。

最後まで観ることは諦めた昨日の「剣客商売」だった。


本を読み始めた頃、大二郎を演ずるならこの男優がいいとある男優を想ったものだ。それはまだ30才過ぎたころの三浦友和(残念だがそれを観ずして友和氏は50を過ぎてしまった。もう今の年齢では・・)。ならば三冬は?寺島しのぶ(三冬経験あり)。40歳年上の夫と暮らすことの出来る若い田舎娘おはるは? 若かりし頃(現在のイメージではない、太ってもいない頃)の杉田かおる。貫地谷しほりは気に入りの楽しみな女優だがここはあの頃の杉田。貫地谷で三冬。こちらの方が楽しみだ。では、小兵衛は?これが難しい。小柄であることが条件な上にあの小兵衛だ。役者がずーと思いつかない。


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